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舞台は現代の東京・お台場。就職活動に燃える大学生の青年、三島ジンと、熱狂的なV系バンドの信者である岡野なな子、かつては同じ中学の同級生だった二人が偶然にも出合ったところから、物語は始まる。二人が出会ってまもなく、突如東京を襲う大地震。捻じ曲がる景色、見慣れた東京は一瞬で変貌する。様々な困難が襲い来る中、果たして彼女を、そして自分自信を守り抜くことができるのか。
ここ最近は、地震をはじめ洪水や台風など、異常気象も重なり「防災」の意識が強まりつつある。災害についてメディアも頻繁に取り上げる傾向が見られ、一時期はそういった防災や地震対策を扱った番組も多かった。地震についても、「地震の何が怖いのか、どうすれば助かるのか、だいたいならわかる」、という方も多いのではないだろうか。
きっと、そんな人がこの漫画を読めば、いかに地震を侮っていたか、恐ろしさについて認識を誤っていたかを思い知らされるはずである。間違ってもテレビなどでは放送できないような、もっとおぞましい「地震の怖さ」がこの作品には描かれている。
地震が発生したときに起こる数々の現象(液状化や火炎旋風)について、そのつど著者の詳細なコメントが入る。被災者、研究者に綿密な取材を取っただけあり、そのリアリティは凄まじい。
一種の「防災マニュアル」としても十分活用できるレベルである。
巻末には、さらに詳しく地震の脅威についてまとめてある。こちらは、完全に物語とは別に、地震ジャーナリストの方のコメントと実際の写真を使ってドキュメンタリー風にしてあり、当時の現場の生々しい状況が伝わってくるようだ。
しかし、そこまでならばテレビや雑誌でも伝えられる。この漫画で重要なのは、圧倒的な臨場感、そしてリアリティである。
この作品では、主人公をはじめ複数のキャラクターが登場し、それを追う形で物語が進行する。なので、いわば
「自分が被災したかのような」感覚で読んでいける。単に情報として受け取るだけのテレビとは違い、
「体感的」に地震の怖さを味わうことができるのだ。
そういった意味ではエンターテイメント性も高いと言えるかもしれないが、その生々しさは想像を絶する。テレビでは描けないような「内面的な恐怖」についての綿密な描写は、凄まじい説得力とリアリティを持って読者の胸を打つ。
地震発生後に襲ってくる
PTSD(心的外傷後ストレス障害)をはじめ、人々の
疑心暗鬼、そして
狂乱・暴走と、今まで知らなかった地震のもう1つの恐ろしさが見えてくる。とくに「狂乱・暴走」は女性にとってはかなりショッキングな事実となるであろうから、覚悟して読んでもらいたい。おそらく相当な恐怖と不快感を覚えるはずだ。(以下少しネタバレ反転)
男性が一斉に狂気に支配され、女性を犯し、嬲る様は、男である私としても相当なショックだった。(反転ここまで)
私はこの作品を読むまでは、「地震の怖さって、断水とか食料難とか、怪我とかだろう」と思っていた。たしかにそれもあるだろうし、怪我などは想像を絶するほど悲惨なことになるということもわかった(眼球が飛び出していても治療されないらしい)。だがこの漫画を読み、それと同じかそれ以上に、
人間の心が壊れることが恐ろしいと、そう強く感じた。
パニック映画のようなスリリングな展開でエンターテイメント性を保持しつつも、ドキュメンタリーのような綿密でリアルな描写で地震の恐ろしさを強烈に伝えてくる。堅苦しい防災マニュアルなんて読みたくない、読めない、という人はもちろん、地震に関係なく単にスリリングな漫画を読みたい人にもお薦めできる作品。
本当に女性にはツライ描写があるかもしれないが、それでも是非多くの人に呼んでもらいたい。冗談抜きで、地震のときの生存率が上がること間違い無しだ。
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