作品チャート

ストーリー
【75点】武力による戦争根絶・・・そのテーマからしても、様々な議論を呼ぶものであり、すんなりとした展開にはならないことがわかります。そもそも戦争に武力介入したところで、さらに戦火を増大させいらぬ混乱をまねくだけですし、戦争する国だってそれなりに事情があってやっているわけですから、その深い事情にも関係なく勝手に乱入して状況を荒らしていくなど迷惑極まりないだけです。
「戦争根絶」という目標を「武力」で解決しようとする
矛盾。この矛盾に対して、
私設武装組織ソレスタルビーイングはどのような「答え」を出すのか。それが、この作品で「描きたかったこと」であると思いました。作品の中盤までは。
宗教や政治、武力介入の結果起こる世界の動きを描いていたのは作品中盤までで、徐々に「ソレスタルビーイングとは?設立の真の目的とは?」というところに焦点が当てられるようになってきます。それに伴いメッセージ性の高さや社会性はどんどん印象が薄くなっていきます。
そもそも、「メッセージ性」というものにも疑問がありますね。リアルな「戦争」を描くにはどう考えても重みが足りません。ソレスタルビーイングの面々も、それなりに暗い過去を背負ってはいるものの、それらに触れられることは少なく、作品のテーマに生かされているとは思えません。また1番気になったのは、当のソレスタルビーイングです。
「自分達が戦争に参加している」「人をたくさん殺している」「自分も殺されるかもしれない」という覚悟、そして自覚が圧倒的に足りないよう感じます。それでもって「世界を変える」などと大言を吐かれても軽々しくしか聞こえないんですね。
あと最終回付近でばったばったと人が死にますが、まぁあれはあれでアリではないでしょうか。キャラの描き方が圧倒的に足りなかったので感動こそしなかったものの、展開としては面白かったです。でも、ラストでいきなり説教臭いメッセージを語らせたのはかなり失敗。中盤からの流れが完全にエンターテイメントのそれだっただけに、突然作品テーマに直結する大切な台詞を言わせても思うものはあまりないですね。
掲げたテーマに見合う重さが感じられない、作品途中からテイストが変わり、作品の明確なテーマよくわからない、というのが気になる点でしょうか。しかし、結末が二期に丸投げだった以上、最終的な評価は二期を見ないとわからないので、とりあえず今の評価として受け取ってください。今の時点ではかなり厳しいですが、もしかすると二期で大逆転も・・・・あるかもしれません(笑)
演出
【72点】GN粒子の見せ方は綺麗でした。戦闘シーンもそこそこ、SEEDよりは上手かったかな、と。しかし、精鋭の兵士で組まれた部隊の機体が、射線上からどかずにあっさり撃墜されたりするのはやめてほしかった。ここでも「リアル」さが足りませんでしたね。
人の死などは非常にドラマチックに見せていますが、キャラクターの描写と絡みが少なすぎるので
感動が浅いです。というか登場キャラがあまりにも多いので、一人あたりに割ける時間は限られてくるのは仕方ないのですが、それにしても絡みが少ないです。最低限のやり取りしか描写されてないよう感じました。
あと、ガンダムがピンチになると使う秘密兵器「トランザム」、これが駄目。ああいう必殺技はマジでピンチなところで使うのが燃えるってもんですし、使ったあとはデメリットがなければいけないんですよ。それを何でもないところであっさり使うし、一応使ったあとは機体性能が下がるようですが、その描写も全然足りません。
「ちっ、敵増えてきたなぁ。よっしゃトランザム発動!」っていうのは萎えますよ、もっと生かしてほしかった。
キャラクター
【85点】ソレスタルビーイングの面々よりも
敵のエースパイロット(ライバルたち)のほうがインパクトが強いです。敵キャラはそれぞれにソレスタルビーイングに対して思うものがあり、目的や立場も様々でした。
近年まれに見るかませ犬キャラであるコーラサワーや、
感情の薄い強化兵であるソーマ・ピーリスと屈強なベテラン兵士セルゲイ・スミルノフの親子関係にも似たやり取り、そして
数々の名言と変態ぶりで一気に知名度を上げたグラハム・エーカーなど、はっきり言って主人公たちよりも面白かったですね。
対する主人公らソレスタルビーイング。まず主人公刹那が
電波で中二病という痛い子でしたが、
「俺がガンダムだ」などの名言でそれなりにインパクトは強し。そういった意味で非常に覚えやすいキャラではあったものの、内面的な描かれ方が主人公とは思えない少なさだったため最後まで結局
「変な子」程度ですね。他のメンバーについても同様、描かれ方が少なすぎるため印象が薄いです。
音楽
【70点】OPとEDは賛否両論あるでしょうが、個人的には悪くないと思います。というか一クール目のエンディングであるTHE BACK HORNの「罠」が評判悪すぎてショックでした。SEEDあたりからガンダム見だしたようなライトなファンにはバックホーンの技術の高さはわからなかったのか・・・。というか単純に「合ってない」だけだったのかも(笑)
劇中の音楽はマチマチ。悪くはないですが、逆に作品のほうが音楽についてこれてない場面もあったように思います。作品の重いテーマから、音楽がもう少し高級感のあるものだったならば良かったです。
キャスト
【87点】悪くないと思います。ソレスタルビーイングの面々は割りとぴったりなキャスティングでしたし、敵のエースパイロットたちが特に良かったです。途中登場するトリニティの面々はちょっとやりすぎというか、有名どころを使いすぎた感がありました。
電波な発言ばかりだった主人公刹那役の宮野真守でしたが、「演技派」というのあながち間違いではないよう思いました。しかしキャストで特筆すべきはもちろんグラハム・エーカー役の中村悠一でしょう。
グラハムの変態っぷりをこれ以上ない完璧さで演じきってますね。
作画
【85点】ものすごい金がかかっているだけありかなり良好。戦闘シーンなどは、戦わせ方がイマイチではあったものの映像としてはかなり綺麗でしたね。モビルスーツの描写などはかなり力が入っているのを感じましたが、それに対して人物のほうはちょくちょく作画崩壊しているのが気になります。
テンポ
【70点】普通です。別にダレてしまったりはありません。ありませんが、キャラの絡みが少なく、政治やらの話ばかりだったりするので見てて面白みがない回が多々あります。ストーリーが気になるからというよりは、
ネタ的に面白いキャラが登場するとか、気になる対決があるからといった具合。もっとストーリーで引っ張っていければ良かったのですが。
燃え
【85点】何気に燃える展開も多かったりします。というのも、物語前半はガンダムがあまりにも強すぎて、戦争というよりはただの虐殺で面白くもなんともないですが、中盤以降ガンダムが圧され始め、ライバルたちとの因縁が生まれてからはなかなか見もの。とくに、雑魚機でガンダム打倒を誓い奮闘するグラハム・エーカーは大いに燃えさせてくれます。また、登場する敵のライバルたちとの対決もなかなかに熱くてよかったです。
演出でも書きましたが、ガンダムが持つ秘密兵器「トランザム」、これは本当に残念。まぁ性能が三倍になるというのに突っ込むのは控えたとしても、普通の武器のようにあっさりと使うのはいただけないですね。また、グラハム・エーカーが、MSでの激しい動きから体にかかる負担で苦しんでいるというのに、ガンダムのパイロットは三倍という半端ない速さでも涼しい顔で操ってますね、そこも納得いきません。あとラスボスも最低。一応見てない人のために隠しますが、主人公に関連性が全く無いために感情移入すらできず、また機体もダサいので良いところなし。ラスボスがヘボいと締まりませんよ。
マニアック度
【低】面白さとしては万人向けだと思いますが、旧ガンダムが大好きな人や、普段からアニメを見ていて深い見方をする上級者には受け付けないと思います。あまり深く考察しない人や、普段アニメを見ないライトなファン向けでしょうか。
総評ガンダムシリーズである、というだけで辛辣な批評を受けやすいこの「機動戦士ガンダムOO」ですが、私としては過去作品と比べるのはお門違いかと思います。コレはコレ、ソレはソレです。
ともあれ、まだ二期を見ないとなんとも言えないのですね。明確なメッセージが二期でははっきりするかもしれませんし、魅力的なキャラや機体が登場するかもしれません。
テーマ性やメッセージ性を追いかけても、エンターテイメントを追いかけてもいいので、中途半端な作品にならないことを願います。
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