セーラー服とチェーンソー
『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』
総合評価=B++◆作者:滝本竜彦(『NHKにようそこ!』・『超人計画』他)
◆ジャンル:「青春」・「恋愛」・「コメディ」
◆2002年にラジオドラマ化
◆西尾維新からのあとがき掲載
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第5回角川学園小説大賞〈特別賞〉受賞作平凡な不良高校生の山本陽介は買い物の帰り道にチェーンソーを持った男と戦う女子高生雪崎絵理に出会う。いくら攻撃をしても全く倒せないチェーンソー男をめぐり、陽介の日常が大きく変わろうとしている・・・。
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「NHKにようそこ!」でおなじみの滝本竜彦さんのデビュー作「ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ」レビューです。
◆青春一直線なお話この作品は不良高校生を主人公とした正統派の青春ストーリーです。
チェーンソー男と戦う謎の美少女、雪崎絵理と出会い、毎日が平凡で退屈だった主人公、山本陽介の日常に「非凡」という光が差し込む・・・という感じ。
こういった作品はけっこうあったりしますが、この作品のよいところは、チェーンソー男とのバトルに重きを置いていないことでしょう。
あくまで、不良で素直じゃない性格の陽介と絵里のやり取りが主です。学生らしい悩みと葛藤を、ライトに描くために、「チェーンソー男」が登場します。
しかし無意味な怪人というわけではありません、チェーンソー男の存在にはきちんと意味があります。そこは読んで確かめてください(笑)
◆特筆すべきはその疾走感「NHKにようこそ」を読めばわかりますが、この作者さんは若者の葛藤とか、イマイチ素直になれない思春期の心情とか、駄目人間のどうしようもなく駄目な考え方とかをかなりリアルに書かれます。おそらく作者さん本人の体験(リアルにひきこもりで14歳でエロゲにハマったらしい)に基づくものでしょう。
そういったリアルな悩みや葛藤、それらを非常にスピーディーに描いているところが、この作品で一番の見どころではないかと思います。
物語終盤、主人公がバイクにまたがって疾走するシーンがあるのですが、そこの部分の文章が持つ疾走感やスピード感は特筆すべきものがあります。
盗んだバイクで走り出したくなること間違いなしです!
・・・いや実際そこまではないですけどね(笑)
◆しかし、あくまで「ライト」ノベル若者らしい、葛藤や非日常への欲求、そして恋。それらを謎のチェーンソー男というインパクト抜群のキャラクターを絡めて一気に読ませるという疾走感あふれる作品です。しかし、それゆえ、イマイチキャラクターの背景についての描写が甘かったり、主人公のうだうだした悩みに焦点をあてすぎて一部テンポが悪かったりという部分も見られます。
最後まで読めばわかりますが、
「骨太」とか「重厚」という言葉はあてはまりません。全体的に疾走感と勢いに重きを置いた書き方となっています。なので、悪く言えば内容が「薄い」とか「稚拙」とかとる人がいるかもしれません。そういうのが気になる人向けに一応そこは指摘しておきます。
◆総評とにかく、
一気に、そして気軽に読める作品です。読んでスカッとしたい!爽やかな作品が読みたい!!という人には安心しておススメできるのではないでしょうか。「NHKにようこそ」も合わせて読むと、滝本竜彦さんの作風がわかってきますよ。
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