「敵を殺さず、見つからないように進む」という、銃を撃ちまくり、敵を殺しまくる派手なアクションゲームとは対極的なコンセプトで一斉を風靡し、そのなんとも言えない緊張感と、魅力的なキャラクター、そして映画のようなドラマティックなストーリーでファンを虜にした往年の名作「メタルギア・ソリッド」シリーズ。その最終章として、PS3という新たな環境で帰ってきたのがこの
『メタルギア・ソリッド4 ガンズ・オブ・サ・パトリオット』である。
クオリティー向上のために大きく発売を延期したりして、ファンを泣かせた作品であるが、待たせただけのクオリティーは確かにあった。まず圧倒的なのが
ムービーの迫力。二層ブルーレイディスク(50GB)というふざけたデータ容量を生かした、超ハイクオリティーな映像は圧巻だ。
またプレイ画面の美しさもかなりのもので、美麗なムービー画面からプレイ画面へと移行したときの違和感や画面の変化はほとんど感じない。ムービーの綺麗さを維持したままキャラを動かすことができる。主人公スネークの着ているスーツをはじめ、登場する銃器や兵器、またそれらのエフェクトまで精密に、凝られまくっている。
そしてストーリー。1から始まり2、3、そしてオプスに至るまで、全ての話が収束するだけあり、まさに「壮大」。シリーズのキャラたちが総出演した、非常に濃厚なものになっている。また、過去作品のネタも多数振りまいてあり、シリーズのファンはニヤニヤがとまらないだろう。
主人公もおじいさんなら、そのライバルもおじいさん、前作では妖艶な美女だったあのキャラもお婆さんになってしまっている。そんな
老成な雰囲気の中で繰り広げられるドラマは、重厚で渋く、そして
熱い。おじいさんになってもなお色あせないスネークの格好良さに、
「ソリッド・スネーク」がいかにゲーム史に残る名キャラクターかを痛感した。
と、ここまで一方的に褒めてきたが、実はシステムや構成の面から見ると「欠点」と呼ぶべき箇所がかなりの数あったりする。
まず、「緊張感」の欠如だ。「敵に見つかってはいけない」「敵が強い」という緊張感がこれまでのシリーズに比べかなり薄いものになっている。ひとえに、こうなってしまった原因は
「武器弾薬がいつでも購入可能」というシステムにあるだろう。
これまでのシリーズとはうって変わって舞台は「戦場」。プレイヤーの自由度はぐっと広がり、今までよりアクション寄りな遊び方もできる、というのはわかる。そんな中で、プレイヤーは「あくまで潜入を貫く」のか「正面から戦って進む」のかを選びながら遊べば良い、それもわかる。
しかし、スタートボタンをポチっと押せばいつでも(ボス戦の真っ只中)でも武器弾薬が購入できてしまうのはどうかと思う。RPGや巨大なライフルを撃ちまくり、近づいてきた敵は兵士だろうが機動兵器だろうが戦闘ヘリだろうが蹂躙しながら進む、というのは、果たして「メタルギア」としてどうなのか。
「なら難易度上げてみなよ」と言うかもしれないが、設定をいじることで変化する「難易度」と、これはまた違った話だと思う。なんと言っても、この作品は「メタルギア・ソリッド」なのだから。B級アメリカ映画のようなドンパチは求めていないだろうし、そんなもんいらない。
あとボスキャラと、ボスキャラの構成にオリジナリティが感じられないのも気になる。一人倒して、一定感覚でもう一人、また一人というパターンが見えている。ボス一人ひとりにもそれぞれストーリーが儲けられているものの、どれも似たり寄ったりなお話で(しかも長いので)、正直なところ飽きてきてしまう。
様々な種類の武器が用意してあるが、果たしてその必要性があったのかも疑問だ。無くせ、とまでは言わないが、実際に私がプレイしてみて使った武器はよく使う数種類のみ。もう少し、
「武器を使い分ける」ことが必要なシステムやシュチュエーションがあればまた違ったかもしれない。今回では、やり込みプレイやガンマニア向けの仕様くらいにしか受け取れなかった。
最後に、個人的に最も気になったのは
「文字の小ささ」。まぁプレイする上で、深刻に問題があるわけではないものの、ゲーム中表示される様々な情報が、字が小さいばかりに読み取れないのは非常にストレスになる。ほんとにわずかな点だが、大事にしてほしかった。全てのユーザーが、PS3の性能をフルに引き出すに足る映像機器を持っているわけではないのだから。
と、ここまで気になる点をだーっと書いたが、それでもやっぱり「名作」だと言わせしめるものがこの作品にはある。様々なところで囁かれている「ムービーが長すぎる」という点については、私としては肯定しても良いと思う。メタルギアシリーズのストーリーをこの一本で締めくくるわけで、多少説明的な部分が多くなるのは仕方が無いこと。
また、このゲームをプレイするユーザーのほとんどはメタルギアファンであろうから、それらのファンからすれば中途半端にストーリーを省かれるほうが痛手であろう。
システム的な部分ではやや残念な部分があったものの、メタルギア・シリーズの最後を飾るには十分すぎる作品になっていると思う。これはもはや「アクションゲーム」として評価するよりも「メタルギア・ソリッド」シリーズとしての基準で評価すべきだ。「メタルギア」はそれ自体で1つのジャンルとして確立されている。
「いかに売れるか」よりも「いかにクオリティを上げるか」「いかにユーザーの期待に応えるか」という想いが込められているのを感じた。限定版には特典としてブルーレイの映像ディスクがついてくるが、是非見てみることをおススメしたい。このゲームがいかに「大作」であるかを感じることができると思う。また、将来ゲーム関連の職につきたい人やクリエイターなどになりたい人にも強く勧めたい。
さて、この『メタルギア ソリッド 4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット』、メタルギアを知らない人がやるのと、メタルギアファンがやるのでは面白さに数万倍の開きがあると言って良い。完全にファン向けの作品ではあったが、だからこそファンの期待に応えんばかりのクオリティとボリュームがある。
世界中に熱狂的なファンがおり、1つのブランドとして磐石の地位を持つこの「メタルギア・ソリッド」シリーズだが、そのプレッシャーに負けない、威風堂々たる完結だった。
【Hide More】